相続手続きの依頼書とはどのようなものか
1 相続手続きを専門家へ依頼する際に使用する書類
人が亡くなり、相続が発生すると、遺産分割や相続財産の名義変更、相続税申告など、さまざまな手続きを進める必要があります。
これらは相続人ご自身でも行うことは可能ですが、戸籍の収集や書類の作成には専門知識や実務経験が求められるため、実際には行政書士・司法書士・税理士・弁護士などの専門家へ依頼するケースが一般的です。
専門家へ相続手続きを依頼する際には、通常いくつかの書類を作成します。
中心となる書類は、委任契約書と委任状であり、これらによって依頼者(相続人)の方が専門家に手続きを任せる意思と範囲が明確に示されます。
具体的には、依頼する業務の種類や、代理権の範囲、報酬額などが記載され、双方の認識を共有する役割を果たします。
実際の相続手続きにおいては、委任を受けた専門家が書類作成や窓口での申請等をしますが、委任契約書や委任状は、それらの権原の根拠となる書類です。
2 相続手続きの依頼書の作成目的と効果について
⑴ 法的に委任関係があることを明確にする
相続手続きを依頼する旨を記した書面は、法的には委任契約書と呼ばれます。
これを作成することで、相続手続きに関する業務を専門家に委任したことが、依頼者の方と専門家の双方にとって明確になります。
⑵ 依頼する業務の範囲を明確にできる
相続手続きには、戸籍収集、相続財産調査、遺産分割協議書の作成、財産の名義変更、相続税申告など、多岐にわたる業務があります。
依頼書に業務内容を明記することで、何をどこまで専門家に任せるのかが明確になります。
また、金融機関や法務局での手続きを行うために、委任状が必要となることも多く、依頼書と合わせて作成することで手続きが円滑に進みます。
⑶ 報酬や費用の取り決めを明確にする
依頼書には、依頼した業務に対する報酬額や支払い方法、追加業務が発生した場合の料金の扱いなどが記載されます。
これらの取り決めを事前に明確にしておくことで、依頼者と専門家の間で誤解が生じることを防ぎ、安心して手続きを進められます。
3 依頼書に記載される主な項目
⑴ 依頼者と受任者の情報
委任契約の当事者を明確にします。
具体的には、依頼する相続人の方の氏名や住所と、依頼を受ける専門家の氏名(事務所名)、所在地を記載するのが一般的です。
実務では、両者が署名(または記名)と押印をします。
⑵ 依頼する業務の種類・内容
相続人調査、相続財産調査、遺産分割協議書の作成、預貯金の払戻し、有価証券の名義変更、相続登記、相続税申告、自動車の名義変更など、依頼する業務を明確にします。
⑶ 報酬や費用(実費)の取り扱い
依頼する業務に対する報酬金額、実費の負担者、追加料金が発生する条件、出張日当などを記載します。
4 委任契約書以外に必要となる書類
⑴ 委任状
専門家が金融機関や役所等で手続きを行う際、代理権があることを示すために必要となります。
金融機関等によっては所定のフォーマットがあり、その様式に従う必要があります。
⑵ 各機関の指定書類
預貯金の解約や証券口座の名義変更などの際には、金融機関や証券会社が指定する書式を使用することが多いです。
不動産の相続登記を行う際には、法務局へ提出する相続登記申請書が必要となります。
これらの書類は、多くの場合、依頼を受けた専門家が作成します。
5 依頼書作成時の注意点
⑴ 依頼内容の具体化
依頼する業務の種類や内容の記載が曖昧であると、後々のトラブルの原因になる可能性があります。
どのような作業を依頼するのかを、できるだけ具体的に示すことが重要です。
⑵ 代理権の範囲を具体的にする
金融機関や法務局では、詳細な代理権の表示を求められることがあります。必要に応じて事前確認を行い、誤りのない内容にしておくことが大切です。
⑶ 署名・押印は原則として本人が行う
依頼書への署名や押印は、原則として依頼者本人が行います。
身体的なご事情で困難な場合には、専門家が面前で意思確認を行ったうえで付き添いの方が代筆をするなど、適切な措置を講じます。
認知機能の低下がある場合には、成年後見人の選任が必要となるケースもあります。






























